2020.09.20(日)15:00~

第68章
銀座でちょっとクラシック 特別コンサート Sold Out
實川風・高橋ドレミ
2台ピアノコンサート
(王子ホール) 

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コンサートの感激をもう一度!
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 曲:
ムソルグスキー: 組曲「展覧会の絵」 (實川&高橋編 2台ピアノ版)
ショスタコーヴィチ: 2台ピアノのための組曲 嬰ヘ短調 作品6
1. プレリュード
2. 幻想的舞曲
3. ノクターン
4. 終曲


 
ようやく秋の涼しさが感じられるようになった9月20日、久しぶりの銀座18クラシックは、向かいの王子ホールにて、實川風&高橋ドレミ 2台ピアノコンサート。
ピアノソロコンサートはしばしば開催されますが、2台のピアノのコンサートはあまり多くありません。
銀座でちょっとクラシック68回史上初となりました。
王子ホールにはスタインウェイとベーゼンドルファーの2台のコンサート用グランドピアノがありますが、まずは朝10時から、それぞれの専門調律師の方々が別々の部屋で442のピッチで調律をしてくださいます。
そしてそれをステージ上に運び、さて、どっちをどっち(左右)に置くか。
手前のピアノは蓋を外さなければなりません。また、どっちのピアノをどっち(實川さんと高橋さん)が弾くのかということでステージ上で4通りの実験を行った上で、左がスタインウェイで實川さん、右がベーゼンドルファー高橋さんとめでたく決定しました。
お二人とも昨日まで新日本フィルとリストのピアノコンチェルト&サンサーンスのオルガン付きに共演されていたので、展覧会の絵を、高らかに鳴らしていたのですが、お客様の耳は大丈夫かなあ・・・と主催者的にはハラハラしておりました。
そんな中でも、お客様が続々と会場入りし(感染症対策で席数は半数以下)、あっという間に本番をむかえました。
まず1曲目はA.アルチュニアン=A.パパジャニアン(何度きいても覚えられない。犬の名前みたい?)アルメニアの作曲家でピアニストの二人の共作。
2台ピアノならではの音響を豊かにつかい、美しい作品。
つづいて本日のタイトルでもある、ムソルグスキー組曲《展覧会の絵》今日では学校の音楽の授業で取り上げられ、テレビでも使用され、みんなが耳馴染みの曲。
プロムナードを複数回組み合わせるという独自の構成を持つこのピアノ曲をラヴェルがオーケストラ版に編曲したものをパリのオペラ座で初演し、一気に世界中に知られるようになったとのことです。
今回は實川・高橋氏が2台ピアノ用に編曲。ピアノだけとは思えない鮮やかで多彩な音色で、さながら展覧会で油絵、水彩画、彫刻を見ているかのような素晴らしい熱のこもった演奏でした。
さて休憩をはさんで、のトークタイム。
後半演奏される2台のピアノのための組曲 作品6。旧ソ連を代表する作曲家の一人D.ショスタコーヴィチが、ロシア革命後の不安定な社会情勢の中、父親が急死し、家族の経済的困窮をピアノ弾きのアルバイトで支える生活の中で書き上げた作品。
芸術家としての反骨心や不屈の精神が宿っている。と熱く思いを語る實川さん。
ドレミさんのコロナのため(話す機会がほとんどなく)二人ともトークが下手になってしまった(笑)というコメントもものともせず、思いの丈を語ってくれたのでした。
4つの楽章からなり、プレリュード、ダンス、ノクターン、そしてフィナーレには前3つのモチーフが登場し全体が統一されています。
15歳とは思えない完成度の高い作品でありながら、その後のショスタコーヴィチに見られる悲壮感や勇壮さが既に現れている秀作です。
なかなか演奏される機会のないこの作品を、2人の達人の手による演奏で聴くことができて、幸せでした。
アンコールに展覧会の絵の最終部分を再現。迫力ある演奏に感ひとしおのコンサートでした。
お二人ともお疲れ様でした。
★コンチェルティーナHPより 演奏会の模様を配信しています。ぜひこの感動をご自宅で♫


實川 風(Jitsukawa Kaoru)Piano
2015年ロン・ティボー・クレスパン国際コンクール(パリ・フランス)第3位、最優秀リサイタル賞、最優秀新曲演奏賞を受賞。2016年カラーリョ国際ピアノコンクール(カラーリョ・イタリア)にて第1位を受賞。本格的に国内外での演奏活動を広げる。
ベートーヴェンを核とした重厚なレパートリーに取り組む一方、邦人作品の初演でも作曲家より指名を受け携わる。 
海外の音楽祭への招待には、上海音楽祭、ソウル国際音楽祭、ノアン・ショパンナイト(フランス)・アルソノーレ(オーストリア)がある。
東京藝術大学附属高校・東京藝術大学を首席で卒業し、同大学大学院(修士課程)修了。
山田千代子・御木本澄子、多 美智子、江口玲の各氏に師事。グラーツ国立音楽大学ポストグラデュエイト課程にて、マルクス・シルマー氏に師事。
 
高橋 ドレミ(Takahashi Doremi)Piano
4歳よりピアノ、5歳よりヴァイオリンを始める。大学在学時代より多くのプレーヤーとの共演を重ね、2012年に日本フィルハーモニー交響楽団による故・冨田勲氏作曲の「イーハトーヴ交響曲」の世界初演に携わる。同作は宮沢賢治の世界を初音ミクとピアノとオーケストラで音にした意欲作で、その後の再演演奏会では冨田氏よりゲストピアニストとして指名を受け、テレビ朝日系列「題名のない音楽会」に出演。同氏の遺作となった「Dr.コッペリウス」にもピアニストとして携わった。
久石譲&新日本フィル・ワールド・ドリーム・オーケストラの一員として、2016年より日本全国・アジア諸国でのツアーに参加。日本フィルハーモニー交響楽団、新日本フィルハーモニー交響楽団の鍵盤楽器奏者としても活動をしている。
管楽器との共演機会も多く、トランペッターのアンドレ・アンリやオッタビアーノ・クリストーフォリなど、国内外の奏者から信頼を寄せられている。
一方、ソロ活動ではバッハやスカルラッティなど独自のレパートリーを築き、2018年に自身初となるソロアルバムがリリースされた。
これまでに山野井千津、横林歩、秦はるひ各氏に、東京音楽大学にて関根有子氏と石井克典氏に師事。2012年東京音楽大学ピアノ演奏家コース首席卒業。