第62章
毛利文香・田原綾子
DUOコンサート

梅雨明けが待ち遠しい7月28日日曜日、銀座でちょっとクラシック第63章、毛利文香さんvn,田原綾子さんvaのDuoコンサート。
お二人はエール弦楽四重奏団」や「ラ・ルーチェ弦楽八重奏団」などで共に演奏し,もう10年以上の付き合いになる親友同士でもあります。桐朋学園音楽教室の弦楽アンサンブルの授業に参加していた小学4年生の頃から、ずっと一緒に過ごしてきた二人の、オールデュオプログラム。滅多にない演奏会に、期待が高まります。
まず一曲目 モーツァルトのヴァイオリンとヴィオラのための二重奏曲第2番 変ロ長調 K.424。モーツァルトは35年という短い生涯で、900曲以上の作品を幅広いジャンル(オペラや宗教音楽などの声楽曲を始め、交響曲や協奏曲などの器楽曲まで)に残しましたが、ヴァイオリンとヴィオラのための2つの二重奏曲はハイドンセットが作られた年に一気に書き上げられ、この第2番は、ヴァイオリンの美しい旋律とヴィオラのあたたかな和声が魅力的な、穏やかながらも輝きに満ちた名作です。お二人の息のあったDUOで温かな気持ちになりました。
続いて、バルトーク:44の二重奏曲Sz.98より抜粋で、2. Maypole Dance 14. Pillow Dance 19. A Fairly Tale 32.Dance from Máramaros 37. Prelude and Canon 43.Pizzicato 44. Transylvanian Dance
ハンガリー出身のベラ・バルトークは、作曲家、ピアニストとしてだけでなく、民俗音楽の研究者としても偉大な功績を残しました。20代半ばごろ、同じくハンガリー人作曲家であるコダーイと出会い、他の研究者たちと共にハンガリー各地の民俗音楽の採集を始め、生涯その研究に打ち込みました。1931年に完成したこの作品群は、ドイツ人音楽教育者であるエーリヒ・ドフラインから、ヴァイオリン初級者向けの作品を書いてほしいと依頼されたことがきっかけで生み出されたそうです。番号が増えるほど難しくなり、色々な音色が楽しめます。ピチカートではマンドリンのように持ち替えて、楽しさいっぱい、この空間ならではです。
第3番目は、マルティヌー:ヴァイオリンとヴィオラのための二重奏曲第1番『3つのマドリガル』H.313
マルティヌーは、ボヘミアの小さな村ポリチカ(現在はチェコに属する)に生まれ、幼い頃からヴァイオリンを学び、作曲の才能にも恵まれ、ヨゼフ・スークに師事した後、パリでも研鑽を積みました。演奏される機会が少ないですが、一楽章は弾むようなリズム、二楽章は幻想的で、三楽章は難しい掛け合いの早いリズムで盛り上がります。マドリガルはイタリア発祥の歌曲形式の一つで、その語源は「自国語で歌う歌」という意味を持つのだそうです(毛利さんのプログラムノートより)
素晴らしい熱気溢れる演奏でした!
バルトークの44の2重奏曲より、モスキートダンス。お洒落なアンコール。
お二人の仲の良さと、互いに切磋琢磨して一つの音楽を作りあげて行く姿勢を間近で感じる事のできた、幸せな1時間でした♫
★銀座でちょっとクラシック、5周年記念と7月2回のコンサートを無事に終わり、しばらくおやすみさせていただきます。
再会を楽しみに。オールボワール♫
 


 
Program
モーツァルト:ヴァイオリンとヴィオラのための二重奏曲 第2番 変ロ長調 K.424
Mozart : Sonata in G, K.423 for Violin and Viola
バルトーク:44の二重奏曲より抜粋
Bartok : 44 Duets for Two Violins
マルティヌー:ヴァイオリンとヴィオラのための二重奏曲 第1番「3つのマドリガル」H.313
Duo for violin and viola No.1 H313


毛利文香 プロフィール
2012年、第8回ソウル国際音楽コンクールにて、日本人として初めて、最年少で優勝。2015年、第54回パガニーニ国際ヴァイオリンコンクールにて第2位、エリザベート王妃国際音楽コンクール2015にて第6位入賞。これまでに、川崎市アゼリア輝賞、横浜文化賞文化・芸術奨励賞、京都・青山音楽賞新人賞、ホテルオークラ音楽賞を受賞。
ソリストとして、神奈川フィル、東京フィル、東京シティフィル、東京響、群馬響、大阪響、韓国響、ベルギー国立管、ブリュッセルフィル、クレメラータ・バルティカなど、国内外のオーケストラと共演を重ねるほか、サー・アンドラーシュ・シフ、アブデル・ラーマン・エル=バシャ、タベア・ツィンマーマン、堤剛、今井信子、伊藤恵などの著名なアーティストとの共演も数多い。2016年3月には、紀尾井ホールにてデビュー・リサイタルを行った。
ヴァイオリンを田尻かをり、水野佐知香、原田幸一郎の各氏に師事。桐朋学園大学音楽学部ソリストディプロマコース、及び洗足学園音楽大学アンサンブルアカデミー修了。慶應義塾大学文学部卒業。現在、ドイツ・クロンベルクアカデミーに留学し、ミハエラ・マーティン氏に師事している。
 
田原綾子 プロフィール
神奈川県出身。第11回東京音楽コンクール弦楽部門第1位及び聴衆賞、第9回ルーマニア国際音楽コンクール全部門グランプリを受賞。読売日本交響楽団、東京交響楽団、東京フィルハーモニー管弦楽団等と共演の他、室内楽奏者としても幅広く活動中。これまでに藤原浜雄、岡田伸夫の各氏に師事。現在はパリ・エコールノルマル音楽院にて、ブルーノ・パスキエ氏から指導を受けている。桐朋学園大学院大学特待生。2015年度宗次エンジェル基金奨学生、第47回江副記念財団奨学生。サントリー芸術財団よりPaolo Antonio Testoreを貸与されている。