第65章
田原綾子・實川風 DUO New Year コンサート
2020.1.11(土)

コンチェルティーナGINZA2020、第1回目のニューイアーコンサートは、ヴィオラの田原綾子さんと實川風さんのDUOで始まりました。
銀座18(でちょっと)クラシックとしては第65章になります。
お2人は昨年王子ホールで行われたコンチェルティーナGINZA5周年のフランクピアノ五重奏曲で初共演。お互いフランクで意気投合、ヴァイオリンソナタのヴィオラ版を是非、という事になり、今回の演奏会が実現しました。
第一部は、フランスの作曲家、ショーソンの
ヴィオラとピアノの為の小品 作品39
ショーソンはパリ音楽院でフランクに師事、いわゆるフランキストの一人で、詩曲などエスプリに富んだ、洗練された作品を多数残しました。原曲はチェロでヴィオラ用に編曲され、繊細で美しい一曲。
次いで、セザール・フランクのヴァイオリンソナタ ヴィオラ版。フランクはベルギー出身で、オルガニストとして教会で演奏、その後パリで作曲活動を開始、作曲家としては遅咲きながら、多くの音楽家から慕われました。このソナタは、4楽章からなり、いくつかの動機を基にして全曲を統一する循環形式(フランクが得意とした作曲技法で、交響曲ニ短調でも用いられている)で作曲されています。またこのソナタはピアノとヴァイオリンの音楽的内容が対等であり、ピアノはヴァイオリンの伴奏ではなく、ヴァイオリンも単なる独奏楽器ではなく、ピアノとヴァイオリンの二重奏曲と呼ぶべき大曲です。同郷の後輩であるヴァイオリニスト、ウジェーヌ・イザイの結婚祝いとして作曲され、イザイに献呈された名曲です。
ヴァイオリンとはまた一味違った、ヴィオラの深い音色と、お互いの音に呼応しあうような、ヴィオラとピアノの掛け合いが、絶妙で、感無量でした。
アンコール はフォーレの夢のあとに。
まさしく夢のような、第1部でした。
第2部 冒頭は、お二人のトークから始まりました。どうしてヴィオラを選んだか?という田原さんへの質問に対し、最初はヴァイオリンを学び、室内楽でヒンデミットの曲に出会って、縁の下の力持ち的なヴィオラに惹かれたの事。
一方どうしてピアノを?の問いに対し、實川さん、3歳の時に訳もわからずピアノ教室に連れて行かれ、最初はピアノの前にじっと座っている事ができず、走り回ってしまうやんちゃな子だった、と幼少期のエピソードを語ってくれました。
そしてフランクのソナタから始まりました。
2部では一層伸び伸びと、より深まった演奏。この大曲をリハーサルも含め3回も弾く事は滅多になく幸せです、と終演後に田原さんが話しておられました。
最後はヒンデミットのヴィオラソナタ 作品11-4。ヒンデミットは自身がヴィオリストであり、ヴィオラの特徴を知り尽くしています。
変奏曲形式になっていますが、ヴィオラの音を最大限に活かし、超絶技巧も盛り込みながら、メロディアスな部分もあり、聞き応えのある作品でした。初めて聴いたお客様が殆どと思われましたが、客席はヴィオラの深い音色を間近に体感し、感動に包まれました。
濃密なプログラムながら、晴れやかな余韻はお二人のお人柄でしょうか。
茶話会も和やかに、ニューイアーコンサート、素敵な幕開けとなりました♫
★2月8日土曜14時より、所沢市松井公民館にて田原綾子さん、實川風さんのリサイタル
曲は今回演奏のフランク、ヒンデミットに加え、シューベルトのアルペジオーネソナタ、森円花さんが田原さんの為に作曲したAoide
問合せTel 090-5756-4360 ¥2000


【1部】
ショーソン:ヴィオラとピアノのための小品 作品39
フランク:ヴァイオリンソナタ(ヴィオラ版)
【2部】
フランク:ヴァイオリンソナタ(ヴィオラ版)
ヒンデミット:ヴィオラソナタ 作品11-4


田原綾子 プロフィール
神奈川県出身。第11回東京音楽コンクール弦楽部門第1位及び聴衆賞、第9回ルーマニア国際音楽コンクール全部門グランプリを受賞。読売日本交響楽団、東京交響楽団、東京フィルハーモニー管弦楽団等と共演の他、室内楽奏者としても幅広く活動中。これまでに藤原浜雄、岡田伸夫の各氏に師事。現在はパリ・エコールノルマル音楽院にて、ブルーノ・パスキエ氏から指導を受けている。桐朋学園大学院大学特待生。2015年度宗次エンジェル基金奨学生、第47回江副記念財団奨学生。サントリー芸術財団よりPaolo Antonio Testoreを貸与されている。
 
實川 風    プロフィール
2015年、パリで行われたロン・ティボー・クレスパン国際コンクールにて、1位なしの第3位、最優秀リサイタル賞を受賞。翌2016年にはイタリア北部、カラーリオで行われたカラーリオ国際ピアノコンクール(カラーリオ・イタリア)にて第1位を受賞し、本格的に国内外での演奏活動を広げる。海外の音楽祭への招待には、上海音楽祭、ソウル国際音楽祭、ノアン・ショパンナイト(フランス)・アルソノーレ(オーストリア)がある。
東京藝術大学附属高校・東京藝術大学を首席で卒業し、同大学大学院(修士課程)修了。
山田千代子・御木本澄子、多 美智子、江口玲の各氏に師事。グラーツ国立音楽大学ポストグラデュエイト課程にて、マルクス・シルマー氏に師事。