第46章
田原綾子ヴィオラリサイタル
共演:原嶋 唯 

満員御礼
春の日差しに、桜の開花も始まって、お出かけ日和となった3月18日、銀座18(でちょっと)クラシック第46章田原綾子さんのヴィオラリサイタル。共演の原嶋唯さんとは桐朋の同級生で、コンチェルティーナでの演奏は2回目となります。
 
桜色のドレスの田原さんとフリージアや水仙の花のようなこれまた華やかなドレスの原嶋さん。両輪の花が咲いたようなサロンで、まずは一曲目。
武満徹:ア・ストリング・アラウンド・オータム。1989年のフランス革命200周年記念作品の委嘱作品として、今井信子先生のために書かれた作品です。もともとオーケストラとヴィオラの為の作品で、このタイトルは大岡信の詩から取られています。繊細な音作りと響きによって秋景色が紡がれているような印象を受け、断片的な旋律的動機で作り出される風景の中で、その自然を観照する人間の役割をヴィオラが果たしているのです。
なかなか演奏される機会の少ない作品ですが、本当に美しい作品。
 
大岡信:秋をたたむ紐(A String Around Autumn)
沈め
詠うな
ただ黙して
秋景色をたたむ
紐となれ
 
続いて2曲めは、 フランク:ヴァイオリンソナタ(ヴィオラ編)
フランクがヴァイオリニストのイザイの結婚式祝いの為に作曲しました。ヴァイオリンソナタの中でも最高傑作のひとつで、様々な編成で演奏されています。
幻想的な語り口に美しい和声が彩られる第1楽章から、情熱的で目まぐるしく曲が展開されていく第2楽章、夢見心地な曲想の中でまるでオペラのように歌われる第3楽章にピアノとの掛け合いで喜びが溢れ出す第4楽章まで、まるでひとつの物語を聞いているかのよう。
ヴァイオリンとはまた違ったヴィオラの音色に、聴き惚れた幸せなひと時でした。
 
アンコールは、フランスの作曲家フォーレの夢のあとに。ヴィオラのしっとりと深い音色に感動。
アンコールもう一曲は、田原綾子さんと親交が深い作曲家、森まどかさんの作品。さくらのメロディーを綾子さんのためにヴィオラソロの為に作曲し、琴の音色のようなピチカートから始まる、まさしく今の季節にぴったりの曲。本邦初公開となりました。
こんな曲を間近で聴けるのも、小さなサロンならではの醍醐味です。
 
桜の花を一足先に、目でも耳でも楽しんだ一日でした🌸
 
※コンサート情報
3月24日 原嶋唯ピアノリサイタル
サロンプレイエル 光ヶ丘 15時開演 2000円
 
5月19日 田原綾子ヴィオラリサイタル
南麻布セントレ 19時開演 3000円


田原綾子(たはらあやこ)viola
神奈川県出身。第11回東京音楽コンクール弦楽部門第1位及び聴衆賞、第9回ルーマニア国際音楽コンクール弦楽器部門第1位併せて全部門最優秀賞、ルーマニア国立ラジオ局賞を受賞。韓国GMMFS、プロジェクトQ、ヴィオラスペース、小澤国際室内楽アカデミー奥志賀、ゆらぎの里ヴィオラマスタークラス、パブロ・カザルス音楽祭等で研鑽を積む。
JTが育てるアンサンブルシリーズ、宮崎国際音楽祭、武生国際音楽祭、題名のない音楽会、NHK-BSクラシック倶楽部、FMリサイタル・ノヴァ、CHANELPygmalionDays室内楽シリーズ出演の他、著名なアーティストと多数共演。現代音楽作品の発表では、平義久没後10周年記念演奏会、三瀬和朗作品の夕べ、桐朋学園作曲家作品展などに出演。
読売日本交響楽団、東京交響楽団、東京フィルハーモニー交響楽団等と共演。2015、2016年度ロームミュージックファンデーション奨学生。これまでに藤原浜雄、鈴木康浩、井上淑子、橋本都恵、室内楽を原田幸一郎、毛利伯郎、三上桂子、藤井一興、山崎伸子の各氏より指導を受ける。桐朋女子高等学校音楽科、桐朋学園大学音楽学部を卒業後、現在パリ・エコールノルマル音楽院在学中、ブルーノ・パスキエ、岡田伸夫の各氏に師事。
 
原嶋 唯 (はらしま ゆい) piano
第13回ショパン国際ピアノコンクールin ASIA 高校生部門
アジア大会金賞(第1位)及びソリスト賞受賞。同コンクールプロフェッショナル部門、東京ピアノコンクール、デザイン国際ピアノコンクール等入賞。第2回桐朋ピアノコンチェルトコンペティション第3位。日本ショパンコンクール2015にて入選。2016年7月、ソリストに選ばれ桐朋学園大学オーケストラ定期公演に出演。高校卒業演奏会、桐朋学園音楽部門students' concert、銀座山野楽器音大フェスティバル、ショパンフェスティバル2015in表参道、桐朋学園サロンコンサートシリーズvol.31等、多数のソロ、アンサンブルのコンサートに出演。これまでにピアノを海老原ゑみ子、岡部厚子、三浦みどりの各氏に、現在、
三上桂子、仲道郁代、本村久子の各氏に師事。室内楽を練木繁夫、篠崎史紀の各氏に師事。2017年4月より桐朋学園大学大学院音楽研究科に在籍。また、イタリアタレントミュージックマスターコースにてアンナ・マリコヴァ氏に師事。
 
武満徹 : ア・ストリング・アラウンド・オータム
フランク:ヴァイオリン・ソナタ(ヴィオラ版)